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秋 秋晴や辿りてゆかな湯の里に 菅野 哲子 秋 正座くづして夜半の蘭亭 佐藤 淑とし子 月 虫の影障子に浮かぶ月出でて 塔原 武夫 秋 隠元豆も収穫のころ 本木 定子 秋 指揮棒に音のしづまる啄木鳥 けら つつき 穴山 恭子 雑 これの遊すさびにこころ和める 有路八千代 雑 青空に雲ゆつくりと流るるに 岡田 典子 冬 年の習ひに煤払ひをり 八乙女由朗 ウ 冬 風邪の身の袖たくしあげ立つ厨 桜井千恵子 雑 細く目を開け猫の寝てゐる 熊谷 淑子 雑 静かなる沼にふくらむ水紋を 伍井 さよ 春 つづれ織とて仕上ぐる弥生 原田 夏子 春 土筆摘む古き想ひ出さぐりつつ 大和 類子 春 かげろふ遠き鉄路の上に 本木 定子 春月 おぼろ月彼の世の人もまらうどに 丹治 久惠 雑 ひさびさに弾く琴こと柱ぢを立てて 小松久仁子 夏 洗ひ髪吹かれて居りぬ軒のはた さ よ 夏 鬼灯市に手をば引かるる 哲 子 雑 言葉すら失ひゆくと独り住み 武 夫 秋 昼を鳴きつぐこほろぎのこゑ 八千代 秋花 電照の白菊の花かなしみて 千恵子 秋 群れなす椋の行方を仰ぐ 哲 子 二オ 雑 文庫本抱くかたちにねむりたり 類 子 雑 街角までに日は翳りつつ 重 俊 旅 雨やまぬ無人の駅に長く待つ とし子 雑 鉛筆一本隠しにありき 定 子 冬 確執を持ちゐしままに凍てし夜 淑 子 冬 あつき葛湯に喉をうるほす さ よ 春 土手に咲く犬のふぐりを振り返へり 由 朗 春 うららの風にむらさきみつむ 典 子 春 白魚の口におどれるあはれさに 久仁子 恋 はん女のうなじの見する恋慕や 久 惠 恋 馥郁と匂ふ扇をかざしつつ 重 俊 恋 忍び車のいづこへゆくや 夏 子 夏月 夕顔のかすかにゆれて三日の月 哲 子 夏 麦酒一気に飲みほしにけり 八千代 二ウ 神祗 荒涼の大地の果てに神の山 とし子 雑 合唱会は幕を開けたり 定 子 秋 紅葉狩りしつかりつなぐこどもの輪 淑 子 秋 頬張るだんご柚子味噌そつと さ よ 旅 まほろばをひたすら歩み崖に佇つ 由 朗 秋 ゆるるすすきに心を寄する 典 子 月 終点におりたれば月の傾きて 久仁子 雑 下駄ひびかせてたれかが通る 久 惠 述懐 敗戦のしがらみ払ひ生きゆかな 重 俊 雑 ひとふで書きの短きことば 夏 子 花 桃の花一枝手折る径の辺に 類 子 春恋 北窓明けて思ひつのらす とし子 春恋 小説のやうな桜の下の逢ひ 定 子 春恋 水温む沢なれに添ひをり 淑 子 三オ 春旅 単線の和賀仙人の竹の秋 哲 子 雑 空腹に耐へ暖簾をくぐる 由 朗 雑 更けゆきて黒光りする灘のいろ 久仁子 雑 人を疎むもはかなごとなり 久 惠 恋 かなはざる願ひひそめしままに過ぎ 重 俊 恋 面をかくせる道行ならむ 夏 子 恋 燃ゆる胸底に沈めし別れ文 類 子 恋 男の取りあひあはれ下世話の 定 子 月 赤あかと照りゐる月の大きさに 典 子 秋 風の中にて秋桜わらふ さ よ 秋 拾ひつつ落ち穂ためたる掌たなごころ 由 朗 旅 旅をつづけて幾年なりや 久仁子 釈教 たとふれば五体投地といふべけれ 久 惠 釈教 坐禅のあとの安らぎにをり 八千代 三ウ 夏 縁日を駆けゆくわらべ浴衣着て 典 子 夏 遠かりしかな新内ながし 類 子 月 立てて置く雨月の傘の雫なり 淑 子 秋 新蕎麦のかをり葱ととろろと 重 俊 秋 馬肥ゆる牧にとどけとばかりにて 夏 子 雑 額縁中のをんなほほゑむ 類 子 述懐 飴なめてほの明りせる歳月に さ よ 春 春の卵を二つ買ひたり 久 惠 春 白壁の家並ゆかしき針供養 八千代 春 温ぬくき日を浴ぶ一樹のもとに 久仁子 花 満天星 どうだん の花白々と子の嫁ぐ とし子 恋 浮かれめなりと美女は呼ばれて 哲 子 恋 ときめきのあの日の契り忘れねど 典 子 恋 八百屋お七はわが内に棲む 類 子 名オ 雑 こだはりの一つが顔をもたげゐて 八千代 雑 庭に草引く楽しみながら とし子 神祗 参るものなき小杜あり手向けせむ 夏 子 雑 同じ組成の空気がまはる 淑 子 冬 しんしんと冬の便りの降りくるに 典 子 冬 湯とうふ掬ふおさがりおたま 類 子 恋 天城越え恋女房伴ひて さ よ 恋 いつしか君をゆるしてゐたり 八千代 恋 裏の戸の開くを待ちて気もそぞろ 由 朗 秋 乱れ乱れし小萩の宵は 夏 子 月 月澄みてしづもり深き畑のもの 定 子 秋 代替りして柿栗伐らる 重 俊 秋 口つきて出づる歌なり里の秋 久仁子 秋 仕立て下しの紬さはやか とし子 名ウ 述懐 在りし日の母の背ながすしぐさにて 淑 子 雑 山ふところに終の栖は 哲 子 雑 段差なき歩道多きを喜びぬ 重 俊 雑 手作りの店に髪飾買ふ 夏 子 花 連翹の花の垣根にみちびかれ 由 朗 春 風船飛ばす空のおくがに 類 子 春旅 春日傘くるくるくると古き町 久 惠 春旅 今年もゆかん吉野のさくら 八千代 |
哲子 七 | とし子 七 | 武夫 ニ | 定子 七 | 恭子 一 | 八千代 八 | 典子 七 |
由朗 七 | 千恵子 ニ | 淑子 七 | さよ 七 | 夏子 八 | 類子 九 | 久恵 七 |
久仁子 八 | 重俊 六 |
〈一首評〉
『栴檀林』八乙女由朗歌集 |
(大和 類子) |
坂田健さんを悼む |
(原田夏子記) |
前回以後の会の歩みは次の通りである。
歌話会の歩み |
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2006年 | 9月24日 | 歌会 |
10月22日 | 歌会 | |
11月26日 | 北杜歌人XV号合評会 | |
12月4日−5日 |
総会・忘年会 作並 湯の原ホテル |
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2007年 | 1月28日 |
歌会 |
2月25日 | 八乙女由朗「啄木と船岡」について | |
3月25日 | 歌会 | |
4月22日 | 菅野哲子「四賀光子の歌」 | |
5月27日 | 八乙女由朗歌集『栴檀林』合評会 | |
6月24日 | 歌会 | |
7月22日 | 一泊連歌の会 秋保 蘭亭 | |
8月26日 | 歌会 |