平成17年7月11日期首・24日満尾
 於作並湯ノ原ホテル

賦何人連歌 百韻


   秋 初紅葉天童までの山路かな 大和 類子
   秋 いづこか盆のお囃子の音 有路八千代
   秋 爽やかに暖簾を分くる風ありて 原田 夏子
   秋 白磁の皿に載れる秋茄子 小松久仁子
   月 かぐや姫還らむ月の輝ける 桂  重俊
   雑 蔵王の雲の上りてゆきぬ 本木 定子
   春 椿咲く庭の片隅ほのあかし 八乙女由朗
   春 囀づるこゑの行方は追はず 菅野 哲子



 ウ 春 うららかに暮れなづみつつ丘の肩 伍井 さよ
   雑 地のよろこびて草の穂のゆれ 丹治 久惠
   夏 夏帽子冠りし少女ひとり佇つ 穴山 恭子
   秋 遠潮路去る帆船さやか 遠藤 幸子
   秋 岬には青いいちじく実となりて 香川 潤子
   秋 赤とんぼくる空の果てより 類 子
  神祇 画の中にひびきてゐるや弥撒の鐘 八千代
     
ゐや
   冬 礼つつましく玉子酒受く 夏 子
   旅 苔清水旅の途中に出遇ひけり 久仁子
   春 ちろちろ流れ芹の芽濡らす 重 俊
   春 到来の鶯餅をかこむ顔 定 子
   花 海棠の花石を蔽へる 由 朗
  春月 おぼろ月水平線をば離れゆく 哲 子
   夏 昔しのべば顕つ走馬燈 さ よ


二オ 雑 眼下には陸の星とて都市の夜 久 惠
   雑 街角曲る喧騒のなか 類 子
   冬 駅出でて空も凍てつく道帰る 長田 雅道
  釈教 座禅のあとの安らぎにして 潤 子
  無常 ありとある生きとし生けるものの末 夏 子
   旅 風来坊となりていづこに 八千代
   雑 木洩れ日のだんだら模様通り抜け 類 子
   春 水脈白くうみねこ渡る 久仁子
   春 野あそびの童は仰ぐ白き雲 定 子
   春 松蝉の声とぎれて聞こゆ 由 朗

     
うきぐさ
  
夏月 萍に月のひかりのおよぶころ 久 惠
   夏 さびしいといへ罌粟ゆるるほど 恭 子
   夏 ところてん敗戦闇のわがのみど 哲 子
   雑 川波の音しげみにかくる 潤 子


二ウ 雑 筏にて下りたりしか遠き国 重 俊
     ともしび
   秋 灯のごとほほづきを吊る さ よ
   秋 虫の音の激しくしばし立止まり 雅 道
   秋 とろろ汁食ひ明日を計らふ 重 俊
   雑 爛々と獣のまなこ冴ゆるとも 由 朗
   恋 お夏ほどにはなれもせぬ恋 久 惠
  春恋 告ぐるすべもたざるままに老いにけり 久仁子
  春恋 ふたつてふてふもつれもつれて 夏 子
  春旅 飛機高度上げゆく地球春となる 哲 子
   花 薔薇の花をくぐりて酔ひぬ 八千代
   夏 泳ぎたる少年の海かへらざり 雅 道
   秋 北上川に蘆刈りはじむ 定 子
   月 村の笛澄みとほりゆく夕月夜 さ よ
 秋述懐 まんじゆしやげもつ毒はかなしき 定 子


三オ 雑 さすらひて見上ぐる空に富士赭し 恭 子
   恋 慕はしき人せつに会ひたく 潤 子
   恋 身を焼きて汀をゆけどむなしかり 由 朗
  述懐 悔いばかりなり振り返りては 八千代
   秋 天の川精霊船も漂へる 重 俊
   秋 軒の干柿捧げたしとや 夏 子
   秋 新米を子に送らむと荷づくるを 由 朗
  秋恋 おもかげ哀し野の濃竜胆 さ よ
  秋恋 菊枕揃ひの布に頬あてて 類 子

        
ふみ
   
恋 一通の手紙いまだ秘めもつ 哲 子
   雑 組紐の絹のいろいろ目に染みぬ さ よ
  神祇 おみくじ結ぶ境内の枝 雅 道
  冬月 二重廻し父の匂ひと寒の月 久 惠
   冬 ふくら雀におびふつくらと 恭 子


三ウ 春 幼子の両手にあまるつくしんぼ 潤 子
   春 新学期まだ歩みあやふく 重 俊
  春恋 かげろふの相合傘を色どりて 八千代
  旅恋 はればれ二人逃避にあらぬ 定 子
   旅 どこまでも続く砂丘に影おとし 夏 子
   雑 誇大広告世に溢れたり 久仁子
  釈教 端座しておろがみ誦す維摩経 類 子
   雑 合併するもその先見えぬ 哲 子
   恋 つれづれに恋の系譜を書きて見し 恭 子
  春恋 あはれ去りたるきさらぎのひと 潤 子
   花 春蘭の花湯ほどよき塩加減 久 惠
 春述懐 畑打つこころ鎮めがたかり さ よ
   月 中天に照る月をみて電車待つ 雅 道
   秋 嵐を呼ばぬ二百十日は 由 朗


名オ 秋 秋袷襟かき合せ茶席待つ 哲 子
   秋 山のなだりに芒のそよぐ 潤 子
   秋 虫籠を作りて世過ぎ裏長屋 恭 子
   恋 思ひ思はれその結末は 類 子
   恋 世之介の手だれにしてはいじましや 定 子
   雑 自炊してゐた田舎の町に 雅 道
  無常 此岸より彼岸へわたる舟に乗り 由 朗
   冬 枯蓮の池になにかうごめく 久 惠
   春 たんぽぽの綿毛ふはふは目の前に 雅 道
   春 ふらこここぎて天に近づく 恭 子
   春 公園に咲きたる馬酔木に出遇ひたり 久仁子
              

   月 雲間をくぐる月の遊戯は 夏 子
  秋恋 蚊帳一つ何事もなく更けにけり 重 俊
  秋恋 夜寒の妻の夢の中まで 恭 子


名ウ 秋 張り替へし障子にうつる笹のゆれ 八千代
   秋 見放けて遠し千歳新涼 定 子
   秋 ひとの住む産土の家ほうせんくわ 久仁子
   雑 かばかりごとに長く関はる さ よ
   雑 おほよその景色よろしき絵葉書は 哲 子
   春 山笑ひたり母のやうにも 久 惠
  春花 高々と一位の花のそのあはひ 類 子
   春 ぴんからからと駒鳥の鳴く 夏 子


類子 八 八千代 七 夏子 八 久仁子 七 重俊 七 定子 八 由朗 八
哲子 八 さよ 八 久惠 八 恭子 八 幸子 一 潤子 七 雅道 七

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前号以後の会の歩みは隔月歌会、隔月研究会で、次の通りである。

歌話会の歩み
2004年 8月22日 北杜歌人XIII号合評会
  9月26日 歌会
 
10月24日
鮎貝槐園、落合直文の歌 小松久仁子
 
11月28日
歌会
 
12月5−6日
総会忘年会 宮城蔵王ロイヤルホテル
2005年
1月23日
歌会
 
2月27日
雪の歌 坂田 健担当
 
3月27日
歌会
 
4月24日
空穂、章一郎の系譜 穴山 恭子
 
5月22日
歌会
 
6月26日
春日井 建「未成年」研究会 大和 類子担当
  7月24〜25日 一泊連歌の会 天童市ホテル王将


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