平成18年6月27日起首・7月23日満尾 於 岩沼市大師温泉

賦 何 人 連 歌 百 韻

   秋 あぶくまや稲の香流るる大師の温泉  塔原 武夫
   秋 醸しおきたる山葡萄の酒  佐藤 敏子
   月 頬づゑの窓に見てをり月夜とて  伍井 さよ
   秋 身のうち走る野分ありけり  丹治 久恵
   雑 麻の葉を刺したる布巾の針目よく  本木 定子
   冬 火鉢かこみて老いも若きも  大和 類子
   雑 よろこびをまづ告げなむと席に着く  菅野 哲子
   雑 好みの器けふは取り出す  小松久仁子

 ウ 雑 木洩れ陽の光ちらちらゆらぎをり  原田 夏子
   春 芽生え揃ひし蕗の薹摘む  有路八千代
   花 雪柳小き花のあふれ咲き  遠藤 幸子
   春 ひそかに降れる春雨に濡る  香川 潤子
   春 月おぼろ月警笛やみし校庭に  桂  重俊
   雑 抒情の唄を聞きたきものを  定 子
   雑 赤き実のぽとりと落つるわがかたへ  類 子
   夏 朝茶に呼ばれ絽の帯選ぶ  哲 子
   述懐夏 ふるさとを離れて遠し桜桃忌  さ よ
   神祗夏 茅の輪くぐりて川辺に沿ひぬ  類 子
   雑 いつしかも先立つ影に風立ちて  夏 子
   雑 はがき一葉何運びくる  武 夫
   恋 世の流れ恋の想ひも宙を飛び  久仁子
   恋 つなぎし手をば振りつつ歩む  八千代

二オ 恋 たのめなき心を追へばうつろなる敏 子
   恋 木々のみどりに二人ひそまむ定 子
   春 桜鯛焼けるにほひのこもりゐて類 子
   春 仔猫がかける横断歩道久 恵
   春 佳きことのありやなしやと待つ春は哲 子
   雑 絹のつつみをほどくあしたにさ よ
   雑 地の鼓動ひそかに占むる現代を熊谷 淑子
   神祗 神主の裔医者となりたり重 俊
   月 雫する音しみじみと月の雨久 恵
   秋 馬追は羽根広げてたちぬ定 子
   秋 豊年に踊れるひとら輪をつくる類 子
   秋 栗おこはなどお重につめて哲 子
   冬 鷹匠の鋭き目つき放つとき夏 子
   冬 笹竹の雪さらさら落ちぬ潤 子

二ウ 夏 けふ立夏萌え出づる山は丸味おび  敏 子
   夏 揃ひの浴衣着たる兄弟  幸 子
   雑 上代は一夫多妻に支へられ  重 俊
   恋 真紅のばらに思ひは托す  類 子
   恋 今はいま夢のまひるま汝の掌に  淑 子
   述懐 錆びし鉄路が眼裏にあり  久 恵
   秋 紅葉狩もくろむ宵の更けてゆく  哲 子
   秋 鬼灯ならすもののけあらむ  夏 子
   月 網膜が名残の月に灼くるゆゑ  淑 子
   秋 山査子手折り床の間に活け  久仁子
   雑 満面の笑みをたたへて客帰り  敏 子
   春 店の自慢は木の実田楽  夏 子
   花 藤の花はるか異境に見し記憶  類 子
   春 岬のはなの潮風温し  幸 子

三オ 夏 夏草の深き香りを身にまとひ  淑 子
   夏 富士のお山に登りたりしか  重 俊
   雑 大沼は野鳥の来るを待ついろに  久仁子
   釈教 寺に奉仕の庭を掃くなり  定 子
   恋 狐火にかどはかされし道行は  久 恵
   恋 断ちたる恋の文束燃やす  哲 子
   月 師の歌碑のしづまる山のひるの月  久仁子
   秋 秋のひと日をそぞろに坐せり  淑 子
   秋 街頭に呼びとめらるる赤い羽根  敏 子
   秋 塔の上なる空高く澄む  幸 子
   雑 川釣りに椅子忘れられ日暮れたり  さ よ
   旅冬 深夜に雪を踏みて旅する  重 俊
   旅冬 甲羅酒着きたる宿にまず一杯  潤 子
   述懐 六回目なる戌年迎ふ  敏 子

三ウ 雑 聞こえねばとなりを頼るほかはなし  八千代
   恋 嘘いつはりも交ふる悲恋  潤 子
   恋 宛名なき片道三月の便りして  重 俊
   恋 火あぶりの刑辞さぬお夏は  夏 子
   恋秋 桐一葉征きて還らぬ君の忌よ  幸 子
   月 新月細くただよひ初むる  哲 子
   秋 すすきの穂つけしままなる顔をあげ  淑 子
   秋 芋嵐吹くころとなりたり  さ よ
   述懐 過ぎこしのことごと重くのしかかる  八千代
   旅 地中海の青あふるる瞳  久 恵
   花冬 日向むく佗助の花ひとつのみ  敏 子
   恋冬 みそかごととて行火をなかに  夏 子
   恋冬 指からめ除夜の鐘きくうすあかり  類 子
   釈教 鈴をふりふり門辺に佇ちぬ  八千代

名オ 雑 星かげに誘はれしか白鼻心  幸 子
   神祗春 諏訪の神社に雛を納めて  さ よ
   春 畦道にすかんぽ低くなびくなり  定 子
   恋春 桜のもとに寄り添ふふたり  久仁子
   恋春 薄氷を渡りて逢ふや橋懸り  さ よ
   月夏 几帳の陰に月の出を待つ  八千代
   夏 水際の樹々も暗くて土用入り  潤 子
   夏 夏ならずとも遊ばむものを  久仁子
   旅 煩雑な日常のがれ支度する  淑 子
   旅 古き手帖に記す時刻表  さ よ
   雑 集会に眼鏡失くしてしまひたり  潤 子
   釈教 縁起絵巻を繙きあぐね  久 恵
   述懐 白雲にとほき祷りを憶ひ出づ  幸 子
   述懐 貧しきこころもちつづけゐて  久仁子

名ウ 月 有明の月のゆくへを見届けむ  夏 子
   秋 渋柿取りて軒に吊すも  重 俊
   秋 百舌の声天をつくまで透りたり  八千代
   雑 晴ればれとして吾は楽しゑ  潤 子
   花 散る花を浴びて至福の時にゐる  定 子
   春 春のものとて栞となさむ  淑 子
   春 入学の子に付添へる母若し  重 俊
   春 万物かへる風うららかに  久 恵


武夫 二 類子 八 八千代 七 敏子 七 哲子 七 潤子 七 さよ 八
久仁子 八 淑子 八 久恵 八 夏子 八 幸子 七 定子 七 重俊 八

ページの先頭へ戻る


前号以後の会の歩みは隔月歌会、隔月研究会で、次の通りである。

歌話会の歩み
2004年 8月22日 北杜歌人XIII号合評会
  9月26日 歌会
 
10月24日
鮎貝槐園、落合直文の歌 小松久仁子
 
11月28日
歌会
 
12月5−6日
総会忘年会 宮城蔵王ロイヤルホテル
2005年
1月23日
歌会
 
2月27日
雪の歌 坂田 健担当
 
3月27日
歌会
 
4月24日
空穂、章一郎の系譜 穴山 恭子
 
5月22日
歌会
 
6月26日
春日井 建「未成年」研究会 大和 類子担当
  7月24〜25日 一泊連歌の会 天童市ホテル王将
  9月25日 歌会
  10月23日 北杜歌人XIV号批評会
  11日27日 歌会
  12月5日−6日 総会忘年会 遠刈田温泉
宮城蔵王ロイヤルホテル
2006年

1月22日

歌会
  2月26日 「私と短歌」について各自が発表した。
  3月26日 歌会
  4月23日 「梅に鶯」の歌 原田 夏子
  5月26日 歌会
  6月26日 日本古代史についての23の話題 桂 重俊
  7月23日-24日

一泊連歌の会 大師温泉

  8月27日 歌会


ページの先頭へ戻る




目次へ