日本ブリーフセラピー協会第12回学術会議

開催概要

本大会は、社会情勢の中でオンライン開催となりましたが、従来の大会の枠にとらわれないオンライン開催ならではの面白い大会を目指します。
大会テーマは、『ブリーフセラピーの創造性と多様性』です。
ブリーフセラピーは、面接で決められた治療モデルや質問技法を踏襲するのではなく、ブリーフセラピーの精神――クライアント・ファーストかつ、型にとらわれない新しい発想のなかで、新しいモデルや方法を創造してきました。今大会は、オンラインで、参加者の皆さまと一体となって、ブリーフセラピーの創造性・多様性を創って参りたいと思います。ぜひお楽しみください!
大会プログラムの詳細は随時更新いたします
下記プログラムは10月10日(土)からパスワード付きHPでご視聴いただけます

大会の会期は10月10日(土)-11月8日(日)ですが、各種イベントの動画および資料は11月15日(日)17時までご視聴いただけます。

大会特別企画1 『ブリーフセラピストNo,1選手権 B-1GP』

日 時:11月7日(土)本番10:00-12:30, 表彰式その他14:00-15:30

日本ブリーフセラピー協会学術会議といえば、ブリーフセラピーNo,1選手権(通称B-1グランプリ)です。B-1グランプリは、「カウンセリング技術を競い合う」という禁忌破りのコンセプトでありながら、学会に欠かせないコンテンツとなり、毎年大きな盛り上がりをみせております。全国の支部から精鋭を募り、日頃の鍛錬の成果を披露します。当協会の1つの文化と言っても過言ではないでしょう。
ここ数年は出場支部が多いことから予選を行っており、今年も厳しい予選を勝ち抜いた5支部が本選に出場します。本選では来談直前にケース概要を知らされた出場者が、面接の方針や戦略について語った後、面接を披露します。磨き抜かれたカウンセリングのデモンストレーションをご覧ください。
講評:生田倫子(神奈川県立保健福祉大学、日本ブリーフセラピー協会理事長)
司会・講評:浜野翼(千葉県市川児童相談所、日本ブリーフセラピー協会カウンセリングオフィス東京室長補佐)

大会特別企画2 『匠が隣で面接している!! ヴァーチャルリアリティによる陪席体験』

日 時:①面接編 10月10日(土)~11月8日(日)
    ②解説編 11月8日(日)15:00-16:00

誰しもが著名な先生方の陪席を体験してみたいと思ったことがあるのではないでしょうか。通常は、先生がいる大学院に入学したり、弟子として雇ってもらわないと体験できません。しかし、コロナ禍によりオンライン開催となったことをむしろ生かした企画として、この度は、その希望をバーチャルリアリティによって叶えます。セラピスト役は、認知行動療法/スキーマ療法を専門とする伊藤絵美先生(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス 所長)、とブリーフセラピーの若島孔文先生です。伊藤絵美先生は、認知行動療法の理論と実践の両方において第一線でご活躍されている先生で、そのご著書は認知行動療法を理解するうえで必読本です。若島孔文先生(東北大学教育学部 教授)も「伊藤絵美先生が出るなら」ということで、今回の企画にご協力を頂きました。伊藤絵美先生と若島孔文先生は「心理療法の交差点2」において、それぞれスキーマ療法とブリーフセラピーの専門家として共演されています。この度は、そんなお二人の面接(ロールプレイ)を360度カメラにより撮影を行い、普段では体験できない距離感で先生方の面接を体感していただきます。ロールプレイの実践に対する解説編もご用意しております。ぜひ、先生方のご著書を読んだうえで、スマートホンを用意して、理論と実践、認知行動療法とブリーフセラピーをご体感ください。流れとしては、10月中に面接の配信を行い、質問や感想を募り、それをもとに両先生が対談・解説されたものを解説編として配信します。

大会特別企画3 『ジャズと臨床心理学の交差点』

日 時:10月10日(土)~11月8日(日)

ジャズの歴史は、「多様性」に支えられ今日まで発展してきました。その起源は、アフリカ系アメリカ人の文化(ブルース、ラグタイム、黒人霊歌、ワーク・ソング)と、西洋楽器を用いたヨーロッパ音楽の文化の融合にあります。ジャズの最大の特徴はインプロヴィゼーション(即興)であり、演奏に「正解」が無いことにあります。ジャズでは、時間を共有した演奏者と観客が、その時間を共に楽しむことが最大の目的です。米国の家族療法家であるブラッドフォード・キーニーは、主著『即興心理療法』において、心理療法の芸術性と即興性について述べています。コラボレーションと即興を通じて、セラピストがクライエントとの対話の流れに飛び込み、セッションを生き生きとさせる創造性を受け入れるように促します。このように、ジャズと臨床心理学の間にはコラボレーションや即興性の面で共通項を見出すことができます。音楽的なナラティブの構成と心理療法的なナラティブの構成について、共通項の中から見出される今後の展望や研究の可能性を検討します。
この度は、ジャズと臨床心理学の交差点を探るために、スペシャルゲストとして若手作曲家の秩父英里さん、司会・進行として臨床心理士・公認心理師の坂本一真さんがジャズと臨床心理学の交差点についてトークセッションを行います。秩父英里さんはボストンにあるバークリー音楽大学を首席で卒業。在学中に、「ASCAPハーブアルパート・ヤングジャズ作曲家賞(2019、2020)」、「ISJAC/USF オーウェン賞(2020)」をトリプル受賞しました。作曲された作品の中には、ディスクオリフィケーションや前意識をテーマとした曲もあります。また、坂本一真さんは臨床心理士・公認心理師でありながら、ジャズのコンペティションであるKOBE BRILLIANT SOUNDS FESTIVAL 2017 JAZZ COMPETITION FINALにてグランプリを受賞しました。ジャズと臨床心理学の交差点をお楽しみください。

特別ゲスト:秩父英里(作曲家・ジャズピアニスト)
⇒YouTube:https://www.youtube.com/c/EriChichibu
⇒Twitter:https://twitter.com/erichichibu?s=21
⇒bandcamp:https://erichichibu.bandcamp.com
司会・進行①:坂本一真(臨床心理士・公認心理師、東北大学大学院、ジャズピアニスト)
進行②:高木源(臨床心理士・公認心理師、東北福祉大学)

会場:東北福祉大学 音楽堂「けやきホール」

大会企画シンポジウム『情報処理と臨床心理学 ―現在の到達点とこれから―』

日 時:11月8日(日)話題提供10:00-11:30, 指定討論13:00-14:00

近年、情報処理技術は飛躍的な発展を遂げています。情報処理技術を臨床心理学的なアセスメントに応用することで、従来の方法では検出できなかったリスクの発見や、早い段階からの支援提供が可能となります。また、アセスメントへの応用のみならず、介入への応用についても検討が行われ始めています。しかし、現在の技術において、臨床心理学的な実践の全てを人工知能に置き換えることは現実的ではありません。その一方で、人工知能の強みを生かした適用場面や活用方法があります。そこで、今回のシンポジウムでは、遠い未来の話をするのではなく、現在の技術の到達点において活用が期待される場面や活用方法について紹介し、検討を行います。
話題提供: 坂本真樹(電気通信大学大学院 情報理工学研究科 教授)
横谷謙次(徳島大学大学院 社会産業理工学研究部 准教授)
高木源(東北福祉大学 総合福祉学部 助教)
指定討論:花田里欧子(東京女子大学 現代教養学部 准教授)

学会企画シンポジウム『コロナ禍の社会におけるブリーフセラピー』

日 時:10月10日(土)~11月8日(日)

コロナ禍の社会において、ブリーフセラピーはどのような役割を果たすでしょうか。本シンポジウムを通じて、共に考えましょう。シンポジウムでは、ブリーフセラピーのこれから、オンラインカウンセリングで求められる知識や技術、オンラインカウンセリングにおける倫理、そしてオンラインの家族療法・ブリーフセラピーの実践について、それぞれの先生からお話をしていただきます。なお、本シンポジウムは8/2(日)に開催された「特別ワークショップ 公開オンラインシンポジウム―コロナ禍の社会におけるブリーフセラピー―」(主催:日本ブリーフセラピー協会)を収録・編集し、限定公開するものです。
挨  拶 「ブリーフセラピーを学ぶ全ての皆様へ」生田倫子(神奈川県立保健福祉大学、日本ブリーフセラピー協会理事長)
話題提供 「ブリーフなオンラインカウンセリングとコンサルテーション」平泉拓(東北福祉大学)
話題提供  「ガイドラインとエビデンスから考える遠隔心理支援の倫理」木内敬太(労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター)
話題提供 「オンラインブリーフセラピーの実践から考える家族面接とカップル面接のこれから」喜多見学(立正大学心理臨床センター)
対  談 「これからのオンラインカウンセリング・これからのブリーフセラピー」
司  会 喜多見学(立正大学心理臨床センター)

大会番組『Brief Night NIPPON! 〜個性的なセラピストたちの臨床談義〜』

日 時:10月10日(土)〜11月8日(日)17:00

掛井一徳先生(かけい臨床心理相談室/愛知学院大学特任講師)が、特別ゲストのセラピストをお招きして、カウンセリングとブリーフセラピーについてリスナー目線でお届けするラジオ番組です。何が起きるかわかりません。ワクワク感をお楽しみください。
*特別ゲスト配信予定
  東 豊 先生 10月10日〜
若島 孔文 先生 10月17日〜
佐藤 克彦 先生 10月24日〜

大会交流企画 第一部 『onlineポリフォニー――ブリーフな出会いの広場』

日 時:11月7日(土)16:00-17:30

『ポリフォニー』という言葉には、一つひとつの声を尊重し、それらの声を響かせ合う「多声性」という意味があります。本企画は、参加者一人ひとりの声を響かせ合うことを大切にしています。
大会は、「どんな出会いがあるのだろう」とドキドキします。これまでの大会では、イベントの合間に、廊下で旧知の先生方とご挨拶ができたり、知り合いの先生を通じて新しい出会いが生まれます。オンライン大会でも、参加者同士の交流を実現します。
本企画は、Remoというコミュニティ・イベントツールを使って、参加者同士の交流を大切にしていきます。大会が終わった後も、新しい参加者同士の交流が続くように工夫を凝らしたいと思います。少人数のテーブルで、ファシリテーターがガイドし、簡単なトピックについて対話をしていきます。
初めて大会に参加される先生にも、初めてRemoを使われる先生にも、安心してご参加いただき、楽しんでいただけるように、担当スタッフが企画を練っています。
「オンラインでどう接続するのか心配…」「たくさんの人とコミュニケーションするの疲れそう…」「初めて大会に参加するので緊張する」という心配もあるかと思います。ぜひご安心のうえ、お楽しみください!
接続方法については、ダイレクトメールまたはホームページを通じてご案内いたします。初めて大会に参加される方が参加しやすい配慮が施されています。
Remoについて
(参考URLリンク)参考記事Remo HP

大会交流企画 第二部 『onlineポリフォニー――夜まで生ブリーフ』

日 時:11月7日(土)18:00-20:00

多彩なイベントが目白押しのオンライン大会ですが、各種イベントを楽しんでいただいても、感想を交換する機会がないと欲求不満になってしまいます。そこで、参加者の感想と声を響かせ合う機会を設けます。Remoというコミュニティ・イベントツールを使い、大会イベントについて語り合う場をご用意します。初参加の方も、おひとりさまの方ももちろん大歓迎!途中参加途中退室もOK!ついついやりとりをしてしまうような企画ブースも用意しています。会場の中を自由に移動しながらたくさんの人と語り合いましょう。お飲み物をご用意の上、ご参加ください!

研究発表

日 時:10月10日(土)〜11月8日(日)

研究発表は、多彩な研究テーマの発表を募集します。発表形式は、口頭発表とポスター発表です。演題内容は、約1か月間、配信いたします。
口頭発表は、動画配信型(動画ストリーミング再生)です。ポスター発表では、通常の発表の他、テーマ公募型の発表を募集します。テーマ公募型は、ベリーショートケース、テクノロジー、災害、質問技法に関する発表を募集します。
※事例発表は、オンライン開催の性質を考慮し、募集いたしません。
配信ページにチャット掲示版を設けます。発表者は、期間に投稿された質問に対して、3件の回答を下限として、11月7日(土)までにご回答ください。

演題登録に関する詳細は、「参加・演題登録」ページをご覧ください。⇒締め切りました

①口頭発表

抄録(日本語360字以内、英語100~175語以内)および、収録動画(15-20分)
※事例発表は、オンライン開催の性質を考慮し、募集いたしません。

②ポスター発表

一般型
抄録(日本語360字以内、英語100~175語以内)および、ポスター(PDF)1頁
提示方法:静止画埋込

テーマ公募型
下記1)〜4)に関する発表を募集します。
抄録(日本語360字以内)および、ポスター(PDF)1頁

応募要件

従来の研究発表と同様に、目的や方法を明確に示すこと。
1)ベリーショートケース(事例のエッセンス提示を含む)報告
2)テクノロジーとブリーフセラピーに関する実践・研究のアイディア
3)災害に関する実践または研究報告(Covid-19を含む)
4)質問技法の応用例、新しい質問技法に関する実践報告

自主企画シンポジウム

掲示期間:10月10日(土)〜11月8日(日))

ブリーフセラピーに関する自主企画シンポジウムを募集します。

演題登録に関する詳細は、「参加・演題登録」ページをご覧ください。⇒締め切りました

応募要件

シンポジウムの最小登壇者数は、話題提供者 2~5名、指定討論者 1~2名、企画者と司会者は他の演役と兼任可、以上3~9名とします。
概要(日本語360字以内)および、収録動画(60-120分)
配信ページにチャット掲示版を設けます。発表者は、期間に投稿された質問に対して、3件の回答を下限として、11月7日(土)までにご回答ください。
事前収録の動画では、企画者が任意に募集したオーディエンス(画面オフを推奨します)が参加する形も可能です。

ワークショップ

対面のワークショップ(WS)を選ぶとき、「2つのワークショップの時間が重なっていて選べない」という経験をされたことがあるのではないでしょうか。対面のWSは、限られた時間のなかで限られた件数に参加できる形でした。オンライン大会では、1か月間いつでも何度でもご視聴いただけます。
WSは、講師の先生方に、ブリーフセラピーに関するアツいトピックをお話しいただきます。また、多様なテーマをご用意しております。初めてブリーフセラピーを学ばれる方や、ブリーフセラピーをさらに深めたい方が、体系的に学べるように、「特別編」「基礎編」「中級編(領域別)」「中級編(テーマ別)」「応用編(テーマ別)」をご用意いたしました。

掲示期間:10月10日(土)〜11月8日(日)17:00
1WSの時間:30-60分(目安)

大会ワークショップ情報は随時更新しております。大会参加登録までに変更の可能性がございます。

特別編

「コロナ禍中にも見つかる例外を活かした事例 / リマリッジ」長谷川啓三先生(東北大学名誉教授)

プロフィール

長谷川啓三(はせがわ けいぞう)
スティーブとインスーを1986年に紹介し、皆さんとご一緒に、そのアイデアを日本で展開する中心の一人になった長谷川です。契機の一つはスティーブが書いていた「治療抵抗の死」という論文です。丸井清泰、古沢平作、という精神分析学の流れがトンペイ/東北大にはありました。抵抗概念のオリジンは分析です。ロジャースには見当たりません。「抵抗処理について」という論文が長谷川の研究者としてのデビュー戦でした。つまりスティーブとは研究テーマが同じ者同士として出会ったんです。

要 約

コロナ禍とブリーフ:金子書房の電子雑誌「note」に依頼を受け「コロナ再婚」という 一般受け的表題?で事例をまとめました。今回は、そんなところからお話を始める予定。


基礎編

「ブリーフセラピー入門:理論と魅力」狐塚貴博先生(名古屋大学)

プロフィール

狐塚貴博(こづか たかひろ)
名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 准教授
2014年、東北大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。教育学博士、臨床心理士、公認心理師。医療、福祉、教育領域での心理臨床実践、放送大学、作新学院大学などを経て、現職。家族療法や短期療法をベースに、主に家族、組織、成人を主な対象とした実践と理論の研究を行っている。日本家族心理学会理事、日本ブリーフセラピー協会理事を兼任。

要 約

ブリーフセラピーは、問題を取り巻く人々とのやりとりに着目し、実用的観点から見立てや介入を行うアプローチです。このアプローチは効率的、効果的な観点を重視しますが、その基礎にはユニークなものの見方や考え方があります。本ワークショップでは、ブリーフセラピー入門として、問題の捉え方と可能性の2点にテーマを絞り、実践例を交え、魅力と共に説明します。内容は非常にベーシックなものですので、どうぞお気軽に受講して下さい。

「ブリーフセラピーの極意」若島孔文先生(東北大学)

プロフィール

若島孔文(わかしま こうぶん)
ITC家族心理研究センターのトレーニーからはじまり、短期療法生活26年。現在、東北大学大学院教育学研究科・教授、短期療法を学ぶ会仙台所属、NFBT研究員制度チーフトレーナー。

要 約

本ワークショップのテーマは「ブリーフセラピーの極意」です。しかしながら、そんな「極意」を私は知りません。なので、心理療法とは何か? 短期療法とは何か? その基本的な考え方と、面接法について、現時点で考えていることをお伝えできればと思います。よろしくお願いいたします。

「解決志向アプローチ入門」佐藤宏平先生(山形大学)

プロフィール

佐藤宏平(さとう こうへい)
山形大学地域教育文化学部 教授 博士(教育学)
専門:家族心理学、臨床心理学、生徒指導
資格:公認心理師、臨床心理士、シニアブリーフセラピスト
山形大学心理教育相談室にて大学院生と地域の相談にあたっている他、中学校や高校におけるスクールカウンセラー、病院等の相談員として相談活動に従事している。

要 約

本WSは、共にソーシャルワーカーであったインスー・キム・バーグとスティーブ・ド・シェイザー夫妻により創始された解決志向アプローチ(Solution Focused Approach:SFA)の基本概念や基本技法等について、MRIのブリーフセラピーとの違いも含め、わかりやすく解説する初学者対象のミニオンラインレクチャーです。ブリーフセラピーを学び始めた方はもちろん、短い時間でブリーフセラピーの基本を振り返りたい方にもおすすめです。


中級編(領域別)

「教育現場におけるブリーフセラピー」岩本脩平先生(ファミリーカウンセリングルーム松ヶ崎ふくらむ)

プロフィール

岩本脩平(いわもと しゅうへい)
ファミリーカウンセリングルーム松ヶ崎ふくらむ代表カウンセラー。短期療法を学ぶ会京都支部プログラム講師。京都府臨床心理士会学校臨床部局研修専門委員。これまで同志社中学校・高等学校特別支援教育指導員、京都市スクールカウンセラーとして教育とかかわりを持ってきました。最近はスクールドッグと一緒に過ごす時間が長く、わんこと協働できる生徒支援についても緩やかに考えています。

要 約

研修会で学んだブリーフセラピーの技法や理論を教育現場に応用しようとしたものの、カウンセリングをしたりコンサルテーションをしたりしているうちに、何だかわからなくなってしまった経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。このワークショップでは、不登校の架空事例を取り上げ、ケースフォーミュレーションを行っていきます。不登校全般の理解と、ブリーフセラピーの理論を橋渡しする機会にしていただければ幸いです。

「産業分野におけるブリーフセラピーの活用」野口修司先生(香川大学)

プロフィール

野口修司(のぐち しゅうじ)
公認心理師・臨床心理士。博士(教育学)。香川大学医学部臨床心理学科准教授。日本ブリーフセラピー協会香川支部代表。若島 孔文先生をはじめ、諸先輩方からブリーフセラピーを学ぶ。というより、ブリーフセラピーしかできない。東日本大震災をきっかけとして、被災自治体の常勤心理士として職員のメンタルヘルス業務に6年間従事。産業臨床の経験は皆無だったが、ブリーフセラピーのおかげで乗り切った。現在も不定期で被災自治体支援に携わっている。

要 約

ブリーフセラピーはそもそも家族システムへのアプローチからスタートしていますが、当然ながら職場というシステムにも応用することが可能です。そして、私が実際に産業臨床に携わって感じることは、ブリーフセラピーの理論や技法ももちろんですが、何より問題に対して柔軟に対応していける「理念」に助けられたということです。今回、そんな私が実践し感じてきた産業分野におけるブリーフセラピーの活用についてお話しさせていただきます。

「犯罪加害者家族への心理的支援」駒場優子先生(法務省矯正局府中刑務所)

プロフィール

駒場優子 (こまば ゆうこ)
略歴:公立学校スクールカウンセラー 、処遇カウンセラー(主として性犯罪再犯防止指導担当)、保育園・幼稚園 巡回発達心理相談員、中野区子ども家庭支援センター、などで勤務。NPO法人World Open Heart 心理担当。専門は、発達心理学、犯罪心理学、短期・家族療法、グループ療法。
著書『脱学習のブリーフセラピー』(金子書房,2004)『ブリーフセラピーの登竜門』(アルテ,2005)『小学校スクールカウンセリング入門』(金子書房,2008)『加害者家族支援の理論と実践』(現代人文社,2015)・『加害者家族の子どもたちの現状と支援』(現代人文社,2019)『家族心理学年報38 教育分野に生かす個と家族を支える心理臨床』(日本家族心理学会編集,金子書房,2020)など、いずれも分担執筆。

要 約

今回のワークショップでは、加害者家族支援を行っているNPO法人の活動の中で出会った、犯罪加害者家族への家族面接事例を紹介し、犯罪加害者を抱える家族の支援について考えていく。犯罪という問題を、家族のメンバーとしてどのように理解するのか、そして家族としての関係は続いていく、その家族の支援をどのように行っていくのか、事例を元に検討していきたい。

「医療における他職種連携とブリーフセラピー」伊東優先生(医療法人 栄仁会 宇治おうばく病院)

プロフィール

伊東優(いとう ゆう)
医療法人栄仁会宇治おうばく病院/栄仁会カウンセリングセンター、臨床心理士・公認心理師。そのほか、人工透析クリニック非常勤カウンセラー、地方自治体非常勤カウンセラー、大学非常勤講師を兼務。本務先では外来および入院カウンセリングとして、疾患、病態を問わず年間約130ケース、年間延べ約1000回程度は面接を実施しています。他が食わない/残した飯を食う残飯処理的臨床が好きです。

要 約

治療チーム(医師や看護師)の関わりや治療方針が偽解決努力(悪循環)に見えてきて、「そんな対応じゃ逆効果なのになんでわからないのだろう」「もっとやる気をもってほしいな」「皆ブリーフ知らないんだよな…」と不満を抱いたことはありませんか。そんなときは、嘆いてないで“治療システム”に介入できるはずです。さりげなく、そしてエレガントに。本WSは、医療に限らず教育、産業など他職種と仕事をする方ならどなたにもご参加いただきたいです。


中級編(テーマ別)

「今日から始まるナラティヴ・セラピー」坂本真佐哉先生(神戸松蔭女子学院大学)

プロフィール

坂本真佐哉(さかもと まさや)
神戸松蔭女子学院大学人間科学部心理学科教授。私立中高一貫校スクールカウンセラー。大分市出身。琉球大学法文学部社会学科心理学専攻卒業後、九州大学心療内科での研修を経て、小郡まきはら病院で家族療法の世界に。大分大学医学部で10年間の臨床実践を経て、2001年より現所属、2009年より現職。2007年度はワイカト大学大学院にてナラティヴ・セラピーによるカウンセラー養成について在外研修。社会構成主義心理療法に関心を寄せている。

要 約

ナラティヴ・セラピーはオセアニア発の心理療法であり、外在化する会話はあまりに有名です。外在化は実践し易く、クライエントに優しいことは誰しも理解するところですが、理論は難解な印象を与えます。最近私は、ナラティヴ・セラピーは会話のパッケージだと考え始めています。このパッケージに会話のプロセスを入れることで、クライエントへの敬意や新たな意味の生成が始まるのです。こんな少しヘンテコなナラティヴ論にお付き合いください。

「サブセラピストとブリーフセラピー」奥野雅子先生(岩手大学)

プロフィール

奥野雅子(おくの まさこ)
岩手大学教授。東北大学薬学部を卒業後、薬剤師として13年間務めた後、渡米し3年間New York在住。アイオナ大学大学院修士課程でFamily Counselingを専攻。帰国後、薬剤師に復帰し、東北大学大学院教育学研究科入学。臨床心理士を取得し、教育現場、医療現場で相談業務に従事する。同大学院博士後期課程修了。
博士(教育学)。2010年、安田女子大学心理学部、2013年より岩手大学人文社会科学部で、臨床心理士と公認心理師の育成と研究に従事。

要 約

ブリーフセラピーでは、メインセラピスト(以下、MTh)とサブセラピスト(以下、STh)の2名で面接を行うことが多い。本ワークショップでは、ブリーフセラピーの面接場面においてSThのトレーニング場面に着目する。STh がMThやClとのコミュニケーションの相互作用を通して、変化し成長していくプロセスについて解説する。特に、STh がシステミックな視点を取得し、パラダイムソフトが起こる観点について最近の研究を紹介し、ブリーフセラピーにおけるシステムの力を再考する。

「ジョイニング、ユーモア、パラドックス」板倉憲政先生(岐阜大学)

プロフィール

板倉憲政(いたくら のりまさ)
岐阜大学教育学部・同大学院教育学研究科 准教授
博士(教育学)・公認心理師・臨床心理士
家族療法やブリーフセラピーを用いた支援や基礎研究をおこなっています。また、ケースに対して有効であると判断された場合には、身体志向(ボトムアップ)のアプローチを柔軟に取り入れてオーダーメイドな支援になるよう心掛けています。最近では、臨床現場の保育園児達から遊びといたずらを学んでいます。

要 約

ブリーフセラピーにおいてラポールの確立はあくまで手段であって目的ではありません。しかし、他の心理療法同様ラポールが確立されていなければ治療効果を著しく低下させてしまいます。本ワークショップでは、家族面接および個人面接におけるラポールを促進するためのジョイニングの工夫を紹介し、ブリーフセラピー特有のユーモアおよびパラドックスを織り交ぜながら、“治療関係⇆治療効果”といった円環的な治療システムについて触れていきます。

「リフレーミングとトートロジー」小林智先生(新潟青陵大学)

プロフィール

小林智(こばやし たく)
新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科助教。仙台市・宮城県スクールカウンセラー、仙台市役所リワーク室、東北文化学園大学保健福祉学科助教などを経て2019年4月より現職。ブリーフセラピーに関する業績として、「解決の物語から学ぶブリーフセラピーのエッセンス ―ケース・フォーミュレーションとしての物語」遠見書房(共著)、「事実関係の把握が困難ないじめ相談事例に対するソリューションフォーカストアプローチの適用」など。

要 約

リフレーミングとは、構成主義的セラピーにおいて重要な介入技法である。この技法について考える際、「それは◯◯ということかもしれませんね」等のリフレーミングを意図した単一唱導にフォーカスされることが多い。しかしながら、リフレーミングの成否はこの単一唱導の性質のみからは予測することができない。本WSでは、その成否を左右する要因について、「精神と自然」(Bateson,G. 1979)の中で言及される“トートロジー”という概念をヒントに考察する。

「コーチング心理学の国際動向とブリーフセラピー」木内敬太先生(独立行政法人 労働者健康安全機構)

プロフィール

木内敬太(きうち けいた)
労働安全衛生総合研究所 過労死等防止調査研究センター 特任研究員
合同会社実践サイコロジー研究所 代表社員 ※役員報酬および給与の授受はありません。
修士(心理学)、博士(医学)、公認心理師、キャリアコンサルタント、ブリーフセラピスト、REBT心理士、寛容と連携の日本動機づけ面接学会理事、臨床心理士
現在は主に、産業保健に関する研究とSNSコーチングの実践に従事している。

要 約

ブリーフセラピストがコーチングをできるようになるためにはどうしたらいいか。答えは簡単です。NFBT主催の「ブリーフコーチング研修」を受けて、「コーチングはじめました」という一文をウェブサイトに掲載するだけです。本ワークショップでは、コーチングの定義から国際動向までを、ブリーフセラピストのために要約してお伝えします。一緒にコーチングを学び、古い価値観に囚われない新しい心理支援の形を創造していきましょう。


応用編(テーマ別)

「世界のブリーフセラピストとのダイアローグ」生田倫子先生(神奈川県立保健福祉大学)

プロフィール

生田倫子(いくた みちこ)
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部 准教授
教育学博士 公認心理士 臨床心理士 ブリーフセラピストシニア 家族心理士
日本ブリーフセラピー協会理事長、日本家族心理学会常任理事。
大学教員の傍らカウンセラーとしても活躍中。家族や会社組織の諸問題を扱う、家族心理学、家族療法、ブリーフセラピーが専門。
著書「ブリーフセラピーで切り抜ける対人トラブル即解決」日総研出版

要 約

これまで、MRIの勢いがある時に短期留学し、アメリカのソリューション・フォーカスト・アプローチの学会大会に何度も参加し、MRIの記念式典に行ったり、メキシコ研究所と親交を保ったり、ある時は著名な方を日本招聘して同行し親交を深めてきました。
本で読むのとは違った臨床家としてのありよう、表には語られていない海外事情もあります。そのあたり、私の日記を掘り起こして皆様にお伝えしたいと思います。

「韓国におけるブリーフセラピーの動向と展開」兪幜蘭先生(作新学院大学)

プロフィール

兪幜蘭(ゆ きょんらん)
東北大学大学院教育学研究科博士課程後期修了。博士(教育学)。韓国出身。2005年留学で渡日。2018年度より作新学院大学准教授。臨床心理士、公認心理師、ブリーフセラピストシニア。

要 約

Solution-Focused Brief TherapyはInsoo Kim BergとSteve de Shazerが1987年Ewha Womans Universityで特別講演をしたことをきっかけに知られるようになった。本ワークショップでは、1980年代から現在までに報告されている論文を中心に、韓国における家族療法やブリーフセラピーの研究動向について紹介し、残された課題とこれからの展望について述べる。

「最新のコミュニケーション研究とブリーフセラピー」花田里欧子先生(東京女子大学)

プロフィール

花田里欧子(はなだ りょうこ)
東京女子大学現代教養学部准教授、日本家族心理学会理事、日本ブリーフセラピー協会理事ならびに京都支部長。教育学博士、公認心理師、臨床心理士。主な著書:「パターンの臨床心理学―G.ベイトソンによるコミュニケーション理論の実証的研究」(風間書房,単著,2010)、「ナラティヴからコミュニケーションへ」(弘文堂,共著,2008)、「心理療法の交差点―精神分析・認知行動療法・家族療法・ナラティヴセラピー」(新曜社,共著,2013)他。

要 約

このワークショップでは、参加者のみなさんをブリーフセラピーのコミュニケーション研究に引きずり込みたいと考えています。この研究の旨味と酸味を包み隠さずお伝えしながら、これまで行われてきたこと、今行われていること、これから行われようとしていること、をお話します。そして、最終的には、みなさんを研究の道連れにすることを目論んでいます。ブリーフセラピーのコミュニケーション研究に特有かつ独特の苦楽をともにしてみませんか。

「ブリーフ・ペアレント・トレーニングことはじめ」松本宏明先生(志學館大学)

プロフィール

松本宏明(まつもと ひろあき) 志學館大学准教授
公認心理師・臨床心理士・ブリーフセラピスト・シニア
2011年から、SC等でペアレント・トレーニングを取り入れ、2016年から実施しているゲーム依存家族会や、親子並行面接での親面接等で、ペアレント・トレーニングを活用してきた。

要 約

ペアレント・トレーニングを保護者が取り組みやすい形で実施している。結果、「ブリーフセラピーの原則」がなだれ込みつつある。それをまとめたブリーフ・ペアレント・トレーニング(BPT)を紹介する。BPTでは、初回でペアトレの基本的な説明を、1枚の資料で定形的に行う。2回目以降はオーダーメイド的に行い、課題の実施順も保護者と相談して決める。特に課題の過重さや継続の困難性の強調など、保護者が無理なく取り組めるパラドキシカルな工夫を紹介する。

「学校では教えてくれない悪循環の書き方と介入法~精神医療の現場から~」佐藤克彦先生(三楽病院精神神経科)

プロフィール

佐藤克彦(さとう かつひこ)
2001年東京医科歯科大学卒業。東京都教職員互助会・三楽病院・精神神経科科長。日本ブリーフセラピー協会トレーナー。日本TFT協会会長。趣味はパラドックス介入(常識が逆効果になっている時に非常識な突破口を見出すこと)。座右の銘は自己否定(自分が正しいと思っていたことが逆効果になっていたら潔く放棄すること)。最近思うことは、お笑い芸人にならなかったおかげで、診察中にネタをパクっても盗作問題にならないからラッキーだったなということ。

要 約

「問題と偽解決」の悪循環までは書けるケド、その悪循環を断ち切る介入が思いつかないという悩みを長年持っていた僕は新たにフレーム記号を創作することで、これまでは唐突に降ってきたようにしか見えなかった介入のもつ不思議さを解消させ、介入の作成法の秘密が分かるようになりました。だからといって介入の作り方がすぐに上手になるワケではありませんが、この作図法がエベレストを登るときの超☆強力なピッケルになることをお約束いたします。

「生殖補助医療とブリーフセラピー」戸田さやか先生(はらメディカルクリニック)

プロフィール

戸田さやか(とだ さやか)
カップルの性と生殖の問題に関心をもち、性科学や生殖心理学を学ぶ。不妊治療専門クリニックでカウンセリングを行うほか、LINEを用いた妊活支援サービスで相談業務やコンテンツ作成に従事。
資格:臨床心理士、公認心理師、ブリーフセラピスト、生殖心理カウンセラー、がん・生殖医療専門心理士。
所属:はらメディカルクリニック、(株)ファミワン、NFBTカウンセリング・オフィス東京室長、東京都公立学校SC。

要 約

日本では約5.5組に1組の夫婦が何らかの不妊検査や治療を受けたことがあり、約17人に1人が高度生殖医療で生まれている。つまり、生殖補助医療と関係ない領域で心理支援に従事していたとしても、実は目の前の家族には不妊で苦しんだ歴史があり、それを生き抜いてきた人たちなのかもしれないのである。このWSでは生殖補助医療にまつわるトピックをブリーフセラピーの観点から解説し、参加者が家族を理解する際の視野を広げられることを目指す。

「疼痛とブリーフセラピー」三道なぎさ先生(東北文教大学)

プロフィール

三道なぎさ(さんどう なぎさ)
臨床心理士・公認心理師。東北文教大学人間科学部講師。ご縁に恵まれ、これまで5年ほどペインクリニックという麻酔科で、心理社会的要因による疼痛へのカウンセリングに携わってきました。「ペインクリニック?」「疼痛??」という反応をされることが多いので、ペインクリニック領域でどのような臨床をしているのかを少しでも知っていただけたら幸いです。

要 約

心理社会的要因による疼痛への心理面接の難しさの一つは、患者の多くが自身の痛みを複数の医療機関において精神的な問題として扱われてきたことにより、心理的アプローチに抵抗感を有していることです。そのような患者の抵抗を活用して治療意欲を引き出すことができるのが、ブリーフセラピーの考え方や技法だと感じています。本ワークショップでは、疼痛患者の心理面接への抵抗を活用する方法について、事例をもとにお話ししたいと思います。

「緩和ケアとブリーフセラピー」三谷聖也先生(東北福祉大学)

プロフィール

三谷聖也(みたに せいや)
学歴:東北大学教育学部卒業、同教育学研究科博士前期課程修了、同後期課程単位取得後退学、博士(教育学)
職歴:仙台市児童相談所心理判定員、宮城県SC、みやぎ県南中核病院緩和ケアチーム臨床心理士、愛知教育大学講師、同准教授を経て東北福祉大学教授
主著:「エンドオブライフ期における家族支援」家族心理学年報36 金子書房 2016
「ブリーフセラピーを援用したデスカンファレンス―過去の意味づけは変えられる」
月刊「緩和ケア」Vol.27 No.6 2017

要 約

死にゆく人のセラピーでは死の受容など実存的な悩みをイメージされる方も多いのではと思います。しかし実際は人の悩みは死の直前まで現実的であり、悩み方も特別ではなく、これまで悩んできたように悩むのです。死を前にして支援者が回避的或いは献身的であるならば、それは主訴を聴くという基本から離れている時でしょう。主訴を聴くこと、絶望的な状況でも例外はあるという揺るぎない信念、質問を通した現実構成は緩和ケアの領域でも助けとなります。

「企業とのコラボレーションとブリーフセラピー」椎野睦先生(産業能率大学)

プロフィール

椎野睦(しいの まこと)
博士(心理学)・公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士・ブリーフセラピストシニア。学生と共に「情報マネジメント×心理学」をコンセプトに会社を設立。主な研究のテーマは「ユーモア」「感情(特に表情との関連性)」。国内では数少ないとされている表情分析官(Paul Eckman Group認定Facial Action Coding System Coder)の1人。

要 約

カウンセリングは時代と共に発展的に多様化し、近年ではより大きな社会システムへの介入を目指したアプローチが広がりを示している。ここでは、様々なリソースを持つ企業・組織とどのような関係性をデザインすることが人々の精神的健康に寄与するかという「インタラクション・ビジネス・モデル」として「A4 Cycle」を提案する。本理論を通じて、ビジネスモデルのフォーミュレーションについて学ぶことを目的とする。

「組織で活かすブリーフセラピー」森川友晴先生(チェリッシュグロウ株式会社)

プロフィール

森川友晴(もりかわ ともはる)
チェリッシュグロウ株式会社 代表取締役
大学卒業後、株式会社モスフードサービスに入社。モスバーガーの店長、人事部、教育部にて勤務。35歳で転職し、研修会社の商品開発部の課長職。40歳でブリーフセラピーに出会い、それがきっかけで起業。今は企業向けコンサルタントとスクールカウンセラーの2足のわらじ。
公認心理師とビジネスコーチとキャリアコンサルタントの3刀流使いです

要 約

本ワークショップはブリーフセラピーの組織内活用について学びます。システム論を持つブリーフセラピーは、組織での活用に有効な場面が多く存在します。
社内カウンセラーとしても活用できるでしょうが、それだけに留まらず、管理職が、指導担当者が、営業職が、経営企画室が、様々な立場、場面で使うことができる事例を元にお伝えします。皆さんが組織に戻った時、活用のイメージが広がることを目指します。

「開業臨床とブリーフセラピー」上野大照先生(オフィス・コミュニケーションズ)

プロフィール

上野大照(うえの ひろあき)
北海道立岩見沢西高校卒業。社団法人にて人事・営業・健康(代替医療)部門を経験後、心の健康に興味をいだき人間総合科学大学にて人間科学を履修。その後、キャリアカウンセラー、NPOでの主任セラピスト、理事長などを経験後独立。短期療法を学ぶ会大阪支部長。現在、開業臨床に加え、一般向け心理学講座の主催、関西カウンセリングセンター講師、全国SNSカウンセリング協議会SVなどを務める。

要 約

このワークショップでは、就業ではなく、開業型の臨床を主としている発表者が、主に次の3点についてレクチャーしている。
先ずは心理臨床にとって少数派であるブリーフセラピーを私設相談室の開業臨床としてどう活用しているのか。次に、開業型であっても安心して心理臨床を行っていく為に、心理アセスメントや医療機関との連携はどのようにしているのか。最後に、事業として経営存続の工夫についても触れている。

「ヤングケアラーの理解と家族システム論的支援」奥山滋樹先生(仙台市職員)

プロフィール

奥山滋樹(おくやま しげき)
仙台市青葉区宮城総合支所 心理相談員。公認心理師・臨床心理士。現職のほか、総合病院精神科での心理療法、専門学校での学生相談、公立中学校でのスクールカウンセラー業務に携わってきた経験を持つ。著書として、「家族心理学 理論・研究・実践」(遠見書房:分担執筆)「事例で学ぶ 生徒指導・進路指導・教育相談 中学校・高等学校編」(遠見書房:分担執筆)がある。ヤングケアラーをテーマとして、家族心理学の観点から研究を進めている。

要 約

家族内で他の家族メンバーの介護やケアを担う、若者や子どもをヤングケアラーという。若年時より介護・ケアを担うことの負担や影響が近年になって認識されるようになり、その支援の必要性についてもマスコミなどで議論されてきている。本WSではヤングケアラーに関する基礎的な内容に加え、これまでの国内外での学術的な知見を紹介するとともに、家族システム論を援用しながら、当事者にとって実現性と有用性という観点から支援について考えていきたい。

「ベイトソンのアディクション観・自助グループ観はブリーフセラピーにどう役立つか」石井宏祐先生(佐賀大学)

プロフィール

石井宏祐(いしい こうすけ)
佐賀大学准教授・ブリーフセラピスト(シニア)・NFBT福岡支部長。
対人援助専門職のアプローチが、嗜癖的でなく脱嗜癖的であるための研究を進めています。ブリーフセラピスト・臨床心理士・公認心理師として臨床活動や教育活動を行っています。
趣味はキャンプです。「すぼり」という宮崎に残る伝統的な地鶏の炭火焼製法に耽溺しています。

要 約

言うまでもなく、ベイトソンはブリーフセラピーの父ですが、その中心地であるMRIを、ここにブリーフセラピーセンターが置かれる5年も前に去っています。その後1971年に記念碑的論文「自己なるもののサイバネティクス」でアディクションについて述べています。後年、家族療法を「すさまじいやり方」と批判していたベイトソンですが、そのアディクション観と自助グループ観は、今日のブリーフセラピーへの示唆に富んでいます。本WSで整理したいと思います。

「ストーキングの被害者支援・加害者治療とブリーフセラピー」小林大介先生(東北大学)

プロフィール

小林大介(こばやし だいすけ)
東北大学大学院教育学研究科博士課程後期。臨床心理士・公認心理師・ブリーフセラピスト(ベーシック)。大学院でストーキング被害者の支援に関する研究を行いながら、臨床心理士・公認心理師として、小学校や企業、虐待防止センター、犯罪被害者支援センターでの勤務にあたっています。他の発表者の顔ぶれに圧倒されていますが、少しでも皆様のお役に立てるように頑張りたいと思います。

要 約

元交際相手、知人、見知らぬ人に突然つきまとわれる。ストーキングは身近に潜みながら対策が非常に難しい問題です。本WSでは、国内外におけるストーキング研究を参考に、ストーキングの実態と、ストーキング発生の仕組みを説明しながら、ストーキング被害者を支援するために必要な関わりや見立てについて報告したいと思います。また、海外で進む暴力的な加害者に対するソリューションフォーカストアプローチの手法についても紹介します。

「オンラインブリーフセラピーの実践と工夫」喜多見学先生(立正大学)

プロフィール

喜多見学(きたみ まなぶ)
職歴:立正大学心理臨床センター助教、日本臨床心理士会自死予防専門委員、東京公認心理師協会代議員など。資格:公認心理師、臨床心理士、家族心理士、ブリーフセラピストシニア。
経歴:教育相談所、スクールカウンセラー、私設心理相談室等で臨床に携わりつつ、NPO法人子育て応援隊むぎぐみやブリーフセラピー協会埼玉支部を設立。現在は、立正大学にて心理士の育成、ブリーフセラピー協会にてブリーフセラピーの実践と普及に携わる。

要 約

この夏、開催した公開シンポジウムにおいて、「オンラインブリーフセラピー」の発表は大きな反響を呼んだ。そこで、本ワークショップでは、シンポジウムで語りきれなかった、オンラインブリーフセラピー面接の流れ、技法、オンラインならではの工夫など、事例を用いて詳しく紹介したい。また、ワークショップの掲示版は、感想から皆様独自の工夫まで様々な意見を出していただき、オンラインブリーフセラピーを皆様と共に作り上げる場としたい。

「学校教育実践に生かす解決志向ブリーフセラピー」浅井継悟先生(北海道教育大学釧路校)

プロフィール

浅井継悟(あさい けいご)
北海道教育大学釧路校 准教授。臨床心理士、公認心理師。公立小学校 非常勤講師、小・中・高等学校のスクールカウンセラー(SC)、公立学校共済組合宮城支部 心理相談員など、様々な立場で学校、教職員と関わってきた。
現在は、教員志望の大学生や現職教員を含む社会人大学院生に、解決志向ブリーフセラピー(SFBT)を教えている。猫に対するSFBTも試みているが失敗が続いている。

要 約

このワークショップでは、児童・生徒、保護者、教員といった個人に対するSFBTだけでなく、学級集団を対象にSFBTのエッセンスを取り入れたアプローチであるWOWWアプローチ(Working On What Works;うまくいっていることに取り組む)についても紹介する。また、へき地・小規模校でのSCのあり方や、SFBTを学校現場でどのように教えるかという視点にも触れる。現職教員やSCをされている方だけでなく、学校現場との接点が薄い方にもぜひ受講していただきたい。

「子育て神話とブリーフセラピー」石井佳世先生(熊本県立大学)

プロフィール

石井佳世(いしい かよ)
熊本県立大学准教授・博士(教育学)・ブリーフセラピスト(シニア)。
臨床歴として乳幼児健診相談員、保育園の巡回相談、小学校・中学校・高校のスクールカウンセラー、精神科クリニック心理士等があり、子どもや保護者に関わらせていただく機会が多かったです。

要 約

子育ての常識や子育て神話は、親にとっては悩む選択肢のランダム性が節約され、拠り所になることも多いだろう。また支援者として常識のユーティライズを目指す方向性もあろう。しかし、子育て神話や常識が悪循環を助長することもある。この場合はブリーフセラピストの非常識性がリソースになりうるが、そこには孤独に耐えるといった力量も求められる。本WSでは、子育て支援における常識と非常識のユーティライズについて研究結果もふまえて深めたい。

「複雑性PTSDという文脈とブリーフセラピー」新谷宏伸先生(本庄児玉病院)

プロフィール

新谷宏伸(にいや ひろのぶ)
群馬大学医学部卒、精神科医、現USPT研究会理事長。本庄児玉病院で解離症専門外来を開設し、これまでに解離性同一性症40名、解離症全体で100名以上の患者の治療にあたる。その傍ら、シンプルにパッケージ化されたパーツセラピーであるUSPTの研修(基本的な心理臨床の素養がある方は、2日間のトレーニングで修得可能)を、日本各地で行っている。著書に『USPT入門―解離性障害の新しい治療法』(共著)。論文が『Interactional Mind (2020)』に掲載予定。

要 約

複雑性PTSDがICD-11に収載され、今後「トラウマインフォームド・ケアの文脈」は、ひと握りの専門家だけでなく全ての臨床家にとって不可欠な視点となるでしょう。本WSでは、短期療法の技法(ノーマライズ、コンプリメント、リソース拡充など)の複雑性PTSDへの用い方について概説し、臨床場面で「感情調節困難、フラッシュバック、解離、身体化症状など」にどんな文脈を構築してどう扱うか、当座の目処がたつようになることを目標とします。


その他

配信ページにチャット掲示版を設けます。講師の先生は、期間に投稿された質問に対して、11月7日(土)までにご回答いただきます(3件の回答を下限)。

拡大理事会

日時:11月8日(日) 12:00-13:00 

大会実行委員

大会実行委員

平泉  拓(短期療法を学ぶ会・仙台支部)(大会長)
高木  源(短期療法を学ぶ会・仙台支部)(事務局長)

鴨志田冴子(短期療法を学ぶ会・仙台支部)
櫻庭 真弓(短期療法を学ぶ会・仙台支部)
沢口 千寛(短期療法を学ぶ会・大阪支部)
田中慎太郎(日本ブリーフセラピー協会)
千葉 崇弘(短期療法を学ぶ会・盛岡支部)
中島 卓裕(日本ブリーフセラピー協会)
二本松直人(短期療法を学ぶ会・仙台支部)
浜野  翼(短期療法を学ぶ会・千葉支部) 

大会拡大実行委員

岩崎 恵美(日本ブリーフセラピー協会)
林 紀代子(短期療法を学ぶ会・神戸支部)
※以上、あいうえお順