ご挨拶
第31回骨盤外科機能温存研究会 会長 東邦大学医学部外科学講座 一般・消化器外科学分野 教授 船橋公彦 |
このたび第31回骨盤外科機能温存研究会を2022年6月11日(土)に東京の八重洲で開催させて頂くことになりました。1991年の初回開催から30年続く歴史あるこの研究会を開催させて頂けることを大変光栄に存じます。
そもそもこの研究会は、骨盤内臓器のがんに対して根治性を損なわず如何に機能の温存を目指すか?という大きなテーマをもとに、日々進歩する医学の中で骨盤臓器を扱う下部消化管外科、泌尿器科、婦人科が机を並べて外科解剖や手技、再建法、QOLなどの様々な視点から討論を重ねてきました。この四半世紀には、骨盤の外科手術も大きく様変わりを遂げ、従来の開腹手術から腹腔鏡下手術へ、そして現在ではロボット支援手術が主流となり緻密な手術も可能となりました。更に医療機器の進歩により術前診断の精度も飛躍的に向上したことで、治療成績も向上しつつあります。しかしながら、この素晴らしい技術を以てしても、術後の後遺症に悩む患者がいなくなったわけではありません。大量の情報が瞬時に入手可能となった現在では病気に関心を向ける患者も増えてきており、「治す治療」だけではなく、看護師、薬剤師、栄養士、作業療法士などのチームで対応していく「支える治療」にも目を向けていく必要もでてきました。
今回の研究会では、テーマを「骨盤外科の今後を拓く~経験から学ぶ課題と対応、そして挑戦~」とさせて頂きました。本研究会の最大の特徴でもある下部消化管外科、泌尿器科、婦人科領域の医師が一同に集まって議論を交わすことができるこの機会を大切にして、これまでに行ってきた様々な経験を今一度振り返り、そこから導き出された課題を共有し、今後の糧にしたいと考えております。当日は、診療科の枠を超えての骨盤外科医としての教育の在り方、直腸癌に対する括約筋温存術後の排便障害に対する現状の課題とその対応、消化器外科領域でも注目される臓器脱の3点に焦点をあてて活発な討論ができればと考えております。
新規コロナ感染者も第5波のピーク以降、これまでの出来事が嘘のように新規感染者も激減していますが、まだまだ安心はできません。来年のこの研究会がどのような形で開催できるかわかりませんが、皆様の研究会のご参加と活発な討論をスタッフ一同心よりお待ちしております。
2021年11月吉日