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会長就任に当たっての所感
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佐々木公明先生が昨年9月に実施された日本都市学会の会長選出において2007-08年度の会長に推薦され,10月27日開催の総会で承認された.日本都市学会長は慣例として地域学会長を兼務しないことから,東北都市学会長を一期で辞退されることになった.我々には,日本都市学会が佐々木先生のリーダーシップの下で新たな方向性を見出し,活性化することを期待する面と,東北都市学会の運営面での不安を覚える面とが入り混じるところがあった.佐々木先生ご自身,その点を十分に承知されていた.しかし,日本都市学会が佐々木先生を求められている以上,東北都市学会としては日本都市学会での先生の活動を支援する道しかないことは自明のことであった.
そんな経緯から東北都市学会では後任会長の人選が必要となり,私にその任が回ってきた.私はこれまで学会活動の持続を望み,主に研究集会の仕事を担当してきた.それはすでに敷かれたレールの上での活動であり,学会のさらなる発展を構想するようなことはなかった.それだけに,佐々木先生の後任会長として私の名前が挙がったときには,不安が先に立った.しかし,佐々木先生が日本都市学会長を引く受けられたことにダブらせて,私も後ずさりすることなく努力しなければならないと自覚した次第である.
周知のことかもしれないが,現在の東北都市学会は1998年に吉原直樹元会長と佐藤直由先生とが中心となって新たに賛同者を募り,1989年以来活動を停止していた学会を再建したものであった.同年10月3日(土),斉藤報恩会館を会場にして再建設立大会と公開シンポジウム「21世紀の東北都市を考える」が開催された.新しい東北都市学会に期待する参加者の熱気が漂っていたことを記憶している.
私は,再建に向けての呼びかけにあった次の一文に強く共感を覚えた.「都市をフィールドとする研究者のみならず,都市の存続と再生に深くかかわっている諸主体,諸組織が加わることによってフォーラムがたえず活性化されることがもとめられています.社会と積極的にコミュニケートする能力を身につけることが,東北都市学会の再生にとって鍵になるともいえましょう.」
とくにフォーラムという言葉は,広い世界との交流を期待しながらも結果として専門領域に閉じこもりがちであった私には大変魅力的であった.この点は恐らく再建大会に東北地方各地から駆けつけた人たちに共通するところであったように思う.再建後の学会は,この趣旨をよく踏まえて活動を実践してきたと認識している.常にオープンな学会として,大会でのシンポジウムおよび研究例会(Colloque)はともに公開で開催されてきた.また,再建学会の大きな成果である『東北都市事典』の編纂は研究者のみならず多くの市民の協力を得て出来上がった.執筆者数は130名に及んだ.
しかし,再建学会もすでに10年の歳月を経るなかで,会員の異動および学会を取巻く環境が変化し,「フォーラムの活性化」を図る必要性に迫られているように思う.上記した呼びかけ文にすでに「フォーラムがたえず活性化されることがもとめられています.」とある.都市の存続と再生に関心を寄せる人たちをさらに募り,活気あるフォーラムを再生産する努力が求められていると言ってよい.そのためには,会員間の意見交流をこれまで以上に活発にし,会員の参加意識を高められるような仕組みが必要かと思っている.東北都市学会の会員は東北地方各地におられ,そのお陰で年次大会が東北6県を順に回る形で開催されている.この利点を活かして,東北地方各地で小規模なフォーラムであっても東北都市学会のフォーラムとして企画・開催し,それを会員に通知することができれば,今以上に学会の活動が日常的になり,会員のネットワークも広がるように思う.
そんな訳で,この場をお借りして,会員の皆さんに,学会の活性化に向けたアイデアを寄せて頂くようにお願い申し上げます.
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日野正輝
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