大会準備委員長挨拶
-全面Web大会で開催-
東北にも遅い春が到来し、広瀬川の瀬音にも冬から解放された生命の息吹を感ずる事が出来るようになりました。皆様におかれましては、新年度のスタートが切られ、なにかとそわそわするようなせわしない日々の連続かと思われます。
さて、この度日本カウンセリング学会第55回大会を東北福祉大学で開催させていただくことになりました。本当であれば、仙台最大のイベントである七夕祭りをご来仙いただいた皆様に堪能していただきたかったのですが、コロナのことを考えますと、どうしても全面Webで開催せざるを得ないという結論に至りました。残念ではございますが、事情をご理解いただきますことを切にお願い申し上げます。
来仙はかないませんが、それ以上に大会は皆様方に十分ご満足できる内容をご用意させていただきました。
基調講演といたしましては、「チコちゃんに叱られる」に度々登場し、曹洞宗開祖の道元禅師に関するお話や仏教についてやさしく解きほぐしてお話をしてくださることで話題になっている、東北福祉大学学長の千葉公慈先生にご登壇いただきます。
第55回大会のテーマは「ブーカ(VUCA)の時代とカウンセリング」です。VUCAは1990年代にアメリカとロシアの冷戦が終結し、核兵器ありきから不透明な戦略の変化を現わした言葉でしたが、2010年代に、変化の激しい世界情勢を現わす言葉としてビジネスの世界でも使われるようになりました。将来を予測することが困難な状況だからこそ、生き方が難しい時代だからこそ、カウンセリングの力が試されていると思われて仕方ありません。VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」を意味します。社会は急激なデジタル化や気候変動などの環境破壊の中にあります。またグローバル経済の波に飲み込まれ、それにともなって社会構造の変化にも対応しなくてはならない状況です。さらにそれに追い打ちをかけたのが新型コロナウィルスによる世界的なパンデミックだと思います。このような時代だからこそ、英知を結集して、希望のある可能性の社会や生き方を見つけ出していかなければならないのではないでしょうか。
参加者の皆様の、忌憚のない明るい未来に向けての情報発信を、ここ東北の地である仙台から天の川の織姫と彦星に向けて行いたいと考えております。どうぞ、多くの方のご参加をお待ち申し上げております。
一般社団法人日本カウンセリング学会
第55回大会準備委員会
委員長 渡部 純夫
(東北福祉大学)